捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す〜小姓になったら王子殿下がやたらと甘いのですが?

「せっかく行くからには、手土産の1つも持って行かなきゃね」

そう言ってピッツァさんに連れてきてもらったのが、近衛騎士団のなかにある商店街。
わたしは存在を初めて知ったけど、小規模だけど服屋や食品店や雑貨屋など、ひと通りのお店が揃っている。

それはそうか。近衛騎士団だけで数千人の騎士や働く人が暮らしてる。城門は6時で閉まるから、外に出られない人にはありがたい存在だ。

「さて、何を持っていくかねえ……こういうの苦手なんだよな~」

ピッツァさんは文字通り頭を抱えて悩んでる。

「ピッツァさん、ソニア妃のお好きなものはご存知ですか?」
「あ〜ソニア妃の好物ねぇ……案外、甘いものが好きだったな。なんか、騎士たるもの常に緊張感を持て!と言いながら、陰でこっそりケーキ食ってた……クククッ!見つけたときの顔と来たら!」

思い出し笑いするピッツァさんは放っておき、雑貨屋に並んだ品物を見てみる。甘いもの……は……ショートブレッドとか、はちみつとか……あまりいいものがない。ショートブレッドは日持ちするけど、お見舞いに適してるとは思えないし……。

「あ……」

隅々まで眺めていると、隅の方に埃を被ったビンが置いてあり、その中に色とりどりの変わった形のキャンディが入ってた。

「……かわいい。星の形だ」

それを手に取ってみると、店主さんがなにかを教えてくれる。

「それね。西方由来のこんぺいとうって菓子だよ。よかったら安くするよ」

なんとなく、だけど。ソニア妃には合いそうな気がして……青いリボンをつけてもらった。


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