【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「は……?」

「あの、リロイ様……?」


何を企んでいるリロイの表情を見ながら、嫌な予感をひしひしと感じていた。


「さて……此処に今回のパーティーのパートナーが決まっていない男女が六人居ます」

「リロイ…………いい加減にしろ」

「兄上だって今回のパーティーだけは公爵家側で参加しなきゃいけないでしょう?」

「そうだが……」

「そこでだ!!この六人の誰かでペアを組むのはどうかな??」

「ちょっと、どういう事ですの!?大切なパーティーのペアをこんな風に決めるなんて有り得ませんわ」

「煩いなぁ……そのまんまの意味だよ。それに王女がいつまでも一人でパーティーに参加するのも如何なものかと思うけどね」

「何ですって!?」


再び小競り合いを始めたリロイとキャロラインを暫く見つめながら思っていた。
珍しくリロイが感情を荒げる唯一の相手。
そしてキャロラインも過剰に反応しているところを見るに、互いに特別な立ち位置に居るのだろうが、明らかに良い方向ではないのだろう。

しかしリロイは何気なく人数に組み込まれているが、先程リロイの誘いを断ったばかりではないだろうか。


「あの、わたくしは先程も申し上げた通り婚約を解消したばかりですから」

「……私は遠慮しておく。今回も一人で参加する」

「ジュリエット嬢も兄上も詰まらない事言わないでよ?僕達もう良い年齢だし、母上も毎回煩いだろう?」

「………………」

「それに彼への良い当てつけになると思わない?」

「当てつけって……今、マルクルス様は何を?」
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