【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「まさかこの方法が上手くいかないなんて……何故だ?アイツはこれなら絶対にルビー様を手に入れられると言っていたじゃないか」


ガラリと雰囲気が変わったマルクルスは、どんどんと此方に近付いてくる。

(アイツ……?誰のこと!?)

狭い部屋の中で無言の攻防戦が続いていたが一瞬の隙をついて、マルクルスの体を押してから扉を開けて逃げ出した。


「ーー待てッ!!」


後から追いかけてくるマルクルスに恐怖を感じていた。

(どうすればいいの!?ずっと追いかけてくるッ!!怖っ)

ふと、先程窓から見えたルビーとベルジェの姿を思い出す。
マルクルスの憧れであるヒロインのルビーならば、この状況をどうにかしてくれるのではないだろうかと考えた。
しかしジュリエットが助けを求めて、どんな反応をするのか予測不可能であるが今はそんな事を言っている場合ではない。


「っ!待て……!ジュリエット」

「はっ、は…………誰かッ!!」

「この僕が、止まれと言っているだろう!?」

「誰か、助けて……っ!!」

「なっ!?ふざけるなよッ」
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