【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情

ベルジェside


ベルジェ・ルディ・ジークサイドはジークサイド王国の王太子として生を受けた。

幼い頃から何事も要領よくこなす事が出来る方だった。
常に人に囲まれていたからか、人との関係も同じ年頃の令息達に比べては上手く立ち回れていたと思う。

恵まれた環境に居た事も大きかっただろう。
勉学にマナーにと新しい事を覚える事は楽しかったし、苦痛に感じた事はなかった。

次々に現れる講師達と共に新しい知識が増えていく。
それを身に付けると少しだけ、自分が大きくなれたような気がした。

(……楽しい!もっと学びたい!)

「凄いですわ」「素晴らしいです」「流石です」
周囲にそう言われても、本当にそうなのだろうかと疑問を持っていた。
「欲に惑わされるな、己の責任を果たせ」
そんな父の言葉を胸に前に、前へ進む事だけを考えていた。

(自分はまだまだだ。立派な王になり国を支えられる様になりたい)

そんな気持ちでがむしゃらに走り続けた。
得られるものは得ようとひたすらに努力していたのだが、次第に父にも母にも「もう十分だ」と言われる程に勉学に熱中していた。
ふと気付いた時には、あの強烈な知識欲と興奮は薄くなっていた。

それでも幼い頃からの習慣なのか、何かしていなければ落ち着かない為、片っ端から本を読み漁っていた。
それから学んだ知識を活かして周囲の期待に答え続けた。
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