【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
ふと、自分の知らないイメージが作り上げられていくことに気付く。
『完璧王子』
そう呼ばれ出してからは、無意識にそうあろうとして人間味のある感情は更に薄れていったように思う。
成長すると人は常に周囲に溢れていて、令嬢達も何かある度に波のように押し掛けてくるようになった。
「殿下の宝石のような琥珀色の瞳と艶やかワインレッドの髪は本当にお美しいですわ!」
「殿下の瞳に映る女性は幸せなのでしょうね」
「今度わたくしの屋敷に遊びに来ませんか?殿下に自慢の庭を見て頂きたいの」
「わたし、ベルジェ殿下の隣に立つ為に頑張ってみせますわ!」
「殿下に相応しいのはわたくしですわ!」
こんな言葉を毎日毎日、聞いていると何も感じなくなった。
「ありがとう……とても嬉しいよ」
そんな一言でキャーキャーと声を上げて嬉しそうに笑みを浮かべる感情豊かな彼女達を見て羨ましいと思った。
楽しい、嬉しい、もっと欲しい……焦がれるような熱い気持ちは今まで一度も経験した事ないものだった。
皮肉な事に王太子という立場もあり、大抵のものは直ぐに手に入ってしまう。
贅沢な悩みだと分かっていたが、心を揺さぶる何かをずっと求めていたのかもしれない。
『完璧王子』
そう呼ばれ出してからは、無意識にそうあろうとして人間味のある感情は更に薄れていったように思う。
成長すると人は常に周囲に溢れていて、令嬢達も何かある度に波のように押し掛けてくるようになった。
「殿下の宝石のような琥珀色の瞳と艶やかワインレッドの髪は本当にお美しいですわ!」
「殿下の瞳に映る女性は幸せなのでしょうね」
「今度わたくしの屋敷に遊びに来ませんか?殿下に自慢の庭を見て頂きたいの」
「わたし、ベルジェ殿下の隣に立つ為に頑張ってみせますわ!」
「殿下に相応しいのはわたくしですわ!」
こんな言葉を毎日毎日、聞いていると何も感じなくなった。
「ありがとう……とても嬉しいよ」
そんな一言でキャーキャーと声を上げて嬉しそうに笑みを浮かべる感情豊かな彼女達を見て羨ましいと思った。
楽しい、嬉しい、もっと欲しい……焦がれるような熱い気持ちは今まで一度も経験した事ないものだった。
皮肉な事に王太子という立場もあり、大抵のものは直ぐに手に入ってしまう。
贅沢な悩みだと分かっていたが、心を揺さぶる何かをずっと求めていたのかもしれない。