【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
けれど現実はそう甘くはなかった。
成長して物事が分かるようになるにつれて次第にジュリエットの心に影が差すようになる。

ある時は気になっていた令息がルビーに会った途端、彼女に惚れ込んでしまう。
またある時は良い雰囲気になった令息に、ルビーが挨拶しただけで、一瞬で心変わりしてしまう。
「いいな」と思っていた令息達は、ことごとくルビーの魅力に落ちていく。

(……お姉様は美人だもの。仕方ないわ)

美しい金色の髪に宝石のルビーの様に赤く透明感のある瞳と雪の様な真っ白な肌。
スッと通った鼻筋にパッチリとした目元と豊満な胸とキュッと締まったウエスト。
風が吹いたら倒れてしまいそうな細い体は同じ女性として羨ましいと思うようになっていく。

(大丈夫。偶々なのよ……!今度は絶対に上手くいくわ)

しかしそんな考えも長くは持たなかった。
ジュリエットが婚約者を作ろうとしても、全員がルビー惚れてしまい、何もかもが上手くいかなくなっていくような気がした。

「ルビー様が好きだ。だから君は無理なんだよ」

何度そう言われて断られたか分からない。
そんな日々が続き"自分が不運に見舞われるのは全てルビーお姉様のせいだ"と思うようになっていった。
いつの間にか、ジュリエットの中でルビーは『邪魔者』で『敵』になったのだ。
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