【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
しかしルビーは怯えるどころか蛇や蛙を可愛がり、ドレスが無くなり困っていると直ぐに令息達がドレスを持ってくる。
それを嬉しそうに受け取る事もなく遠慮して見せるのだ。
それすらも計算している行動のように見えて、益々腹立たしく思った。

(なんで!?何でお姉様ばっかりいい思いをするの!?)

それなのに選り好みをしているのか、もっと高位な令息からのアプローチを待っているからなのかは分からないが、なかなか婚約者が決まらない。
そのせいで此方の婚約者も決まらない悪循環に陥っていた。

毎日毎日、懲りずに「あのね、ジュリエット」と言って、笑顔で話しかけてくる。
態度悪く接しても拒否しても暴言を吐いても近付いてくるのだ。
「わたくしはジュリエットの姉だから」「心配だから」
そんな意味の分からない理由で……。

しかし『ルビー』が側にいる限り、何もかもが上手くいかないと確信していた。
一緒に居たくないと拒否すれば、令息から鋭い視線を送られることになり、印象は最悪になる。
姉は今日も令息に囲まれて幸せそうに見えた。

ルビーを恨んでいる令嬢はジュリエットだけではなかった。
妬みや僻みを持つ令嬢も居れば、もう敵わない存在だと諦める令嬢も居た。
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