【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「嘘だッ!ジュリエットが僕を愛していないと訳の分からないことを言い出したから話し合おうと思っただけなんです!!」

「マルクルス様はルビーお姉様を一番に考えてるって言ったでしょう!?そんな相手と婚約関係は続けられないわ!わたくしを利用してお姉様に近づくなんて最低よッ!嘘つき……!裏切り者ッ」


エコーのように脳内に響き渡る『最低』『嘘つき』『裏切り者』と言われて倒れそうになるのを堪えていた。
ガンガンと痛む頭……初めて感じる絶望感と挫折に打ちひしがれていた。


「……ッ、僕のことが好きだからいいじゃないか!!何度も愛してるって言っていっただろう!?ルビー様を幸せに出来るのは僕しか居ない!これは決定事項なんだッ!」

「!?」

「僕の婚約者になれただけでも有難いと思えよッ!!売れ残りだったくせに」

「…………は?」


そんな時、ジュリエットがマルクルスに掴みかかる勢いで手を振り上げたのを見て反射的に腕を掴んだ。


「ジュリエット嬢……落ち着いて下さい」
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