【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
ここまで完璧だと、どこかに致命的な弱点があるのではと思ってしまう。

(何かが極端に苦手とか出来なかったりして……!ふふっ)

そんな風に考えていると前から本物のベルジェが歩いてくる。
軽装にも関わらずキラキラと眩しい容姿はなかなかに主張が激しい。

(ルビーお姉様と並ぶと圧巻だわ……!)

手にはいつものように何かが入っていそうな箱。
今日はどんな美味しいお菓子を持って来てくれたのだろうかとワクワクしていた。
以前、ベルジェに「何か好きな食べ物はあるか?」と聞かれて、咄嗟に「甘いもの」と答えてから、美味しいお菓子を持って来てくれるようになったのだ。


「や、やぁ……ジュリエット嬢」

「ベルジェ殿下、ご機嫌よう」

「あぁ……その、」

「…………?」

「えっと……」

「???」

「これは、いつもの……アレだ」

「ありがとうございます!ベルジェ殿下」

「!!!!」

「……?」

「…………っ」

「あの、ベルジェ殿下?」


いつも何かを言いたげに此方にチラチラと視線を送っているのだが、一向に会話が進まない。
間を持たすためににっこりと笑うと、ベルジェは小さくウンウンと頷いてから背を向ける。

(この行動には何の意味が……?誰か教えてくれ)
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