【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
以前のジュリエットならば間違いなく「わたくしだけを愛してくれる王子様のような人」と答えそうではあるが、前世の記憶を思い出した以上、現実的な答えしか出てこない。

(よし、当たり障りのないタイプを可愛い感じに答えておこう)


「元気で明るくて、色々と一生懸命頑張っている姿を見ると応援したくなりますよね」

「!!?」

「それにやっぱり一緒に居て面白い人とか」

「お……面白い」


いつも落ち着いていて、特に苦労なく何でも出来てしまう自分とタイプが全く違うと認識したベルジェが落ち込んでいる事にも気付かずに話を続けていた。


「それにやっぱり結婚ってなると……」


目の前からゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
ジュリエットはラドゥル伯爵家に嫁ぐ予定だったが、それは白紙となった。
今は婚約者もおらず、嫁ぐ予定もない。
今までジュリエットはこの家から出て嫁ぐ気満々であったが、よくよく考えてみると自分が継いでもいいのではないかと思い始めていた。

恐らくルビーはベルジェと結ばれてハッピーエンドなのでカイネラ子爵を継ぐということはないだろう。

(そうなると、やっぱり結婚相手は次男とかがいいのかしら?前の世界も結婚は大変そうだったけど、貴族もなかなかに大変よね)

今後の未来について考えが纏まったところで口を開いた。
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