【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情

「結婚するなら、一緒に子爵家を支えていけるような方だったら嬉しいですわ」

「ーーーーーッ」

「きっとお姉様は何処かに嫁がれるでしょうから」


恐らくベルジェ殿下の所に……そんな言葉を飲み込んだ。
そして自分は処刑を回避した残りの人生を伸び伸びて過ごすのである。
するとガタリッと音を立てた後にフラリフラリと崩れ落ちるようにベルジェが震える様子を何だろうと眺めていた。


「ベルジェ殿下……?あの……大丈夫ですか?」


テーブルに腕を伸ばして何とか立っているベルジェを支えようと手を伸ばそうとしたが、真っ青な顔で唇を噛んでいる彼を見てハッとする。

(もしかして……具合が悪いのを我慢しているのね!?!)

しかしこの時、ベルジェがジュリエットのタイプが事如く自分とは真逆で、今まで生きていた人生の中で最大の挫折を味わっているとも知らずに「失礼します」と言って手を伸ばしてから額に手を当てた。


「ッ!!?」

「熱は……ないみたいですけど」


すると今度は顔を真っ赤にしたベルジェが体を固くしている。
青くなったり赤くなったり忙しそうだと思ったが、こんなところで倒れられでもしたら、ジュリエットが護衛の騎士達に連れてかれてしまうのではないのだろうか。
ベルジェはギュッと胸元を掴んで、先程よりも息が荒くなっているように思えた。
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