【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
ついには子爵令嬢ながらも、王太子との顔合わせまで漕ぎ着けたのだと嬉しそうに笑う両親から聞いて愕然としていた。

(クソッタレ……!いつか絶対にバチが当たるわ!!)

しかしそんなジュリエットにチャンスが訪れる。
神様はちゃんと自分の頑張りを見ていてくれたようで、ついに幸せを掴む事が出来たのだ。

姉に靡かない貴重な令息をやっと見つけることが出来た。
それが伯爵令息であるマルクルス・ラドゥルであった。
少々ナルシストな部分と思い込みが激しい所が気になるところではあったが姉に普通に接することが出来る数少ない男性であった。

マルクルスを大切にしようと、ジュリエットは精一杯の事をやった。
また姉に取られてしまうかもしれないという思いから彼に尽くしまくっていた。

それから一カ月、マルクルスと婚約する事が出来たのだ。
やっと訪れた春に安堵していた。

(もうお姉様なんて、どうでもいいわ……!だって私が幸せなんだもの!)

姉が誰と何をしていても、笑顔で纏わりついてきても、もうどうでも良かった。
取り巻きの令息達と和気藹々と過ごしている姿を見ても苛立ちは湧き上がってこなかった。

(フフッ、アイカ様ったら嘘吐きね!私がお姉様より先に幸せになるのよ!)

普通の幸せを手に出来た事にホッとしていた。
順調に育んでいる愛は、これからも永遠に続くと思っていた。

姉の事など忘れかけていたある日の事……事件は起こったのだ。
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