キミの次に愛してる【BL】

十四


「え……」



 向かった、姉さんのお墓の前。

 誰か居ることに、足を止める。



 そしてそれが、見慣れた背中であることに、驚きの声を落とした。



「どうして……」



 僕の呟きに、しゃがんで手を合わせていた人物が振り返る。

 驚きにぽかんと口を開け、立ち上がった。


「あれ? 浩次君? どうしてここに居るの?」


 それはこっちのセリフです、と足を進める。

「お義兄さんこそ。お見合いはどうしたんですかっ」

 時間は!? 間に合うの!? と続けざまに訊いた僕に、「いやぁ、それが……」と横を向いて頭を掻く。

「あれ、実は断ってたんだよねぇ」

「え……」

 どうして……と呟いた僕に、今度は裕文さんが問うてきた。

「浩次君こそ、どうして此処に? お友達は?」

「それは……その……」



 口篭った僕に、裕文さんがふわりと笑う。

 そうして、優しく頭を撫でてきた。



「気を遣ってくれてたんだ? 浩次君は、良い子だねぇ」

 全然良い子じゃないのに、それを言えない。

 そっと息を吐いて、姉さんの墓前に花束を供えて手を合わせた。

「ごめんね。せっかく2人で会話してたのに、邪魔しちゃって」

 僕が言うと、クスリと裕文さんが笑う。

 見上げた僕に、肩を竦めて笑った。

「どうだろ。――もしかしたら、由美が浩次君を呼んだのかもしれないね。僕の愚痴にうんざりして……」

「え……?」


 ――グチってた? 裕文さんが?

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