キミの次に愛してる【BL】
十七
不思議だな、と思う。
卒業式は、自分が卒業する訳ではなくてもなんだか寂しさが漂ってしまう。そして同時に、澄み渡る青空のような、晴れやかな気持ちにも、してくれるのだ。
「卒業おめでとうございます。如月先輩」
僕の言葉に「ありがとな」と先輩が笑う。
如月先輩は中学の頃から知っている先輩で、姉さんが亡くなって僕がテニス部を辞めるとなった時も、とても残念がってくれた部活の先輩だった。
あの頃は、部活どころか何もやる気が起きなくて……。裕文さんを心配させない為に高校には登校していたけれど、授業の内容も全然頭になんか入ってきてくれなかった。
先輩は、僕がテニス部を辞めた後も時折教室に様子を見に来てくれて、廊下で会ったら声をかけてくれて。
学校では友達と同じように、僕を支えてくれた人だった。
「それで、これ……」
僕は用意していた花束を先輩に渡す。
少し恥ずかしいから、校舎の裏でコッソリだ。
「おぉ~、スッゲ! 花束なんて貰うの初めてだ!!」
俺には可愛い過ぎないかー、なんて笑いながら、受け取ってくれた。
「すみません。呼び止めたりしちゃって。先輩のお友達みんな、先帰ってしまいましたね」
「ん? あぁ、先行ってるだけだから全然オッケー。これからカラオケなんだ」
人懐っこい笑顔を浮かべた先輩は、「それに」と首を傾げるようにして僕を見た。