キミの次に愛してる【BL】


 姉が亡くなってからも、僕を本当の兄弟のように養い続けてくれていた。

 きっと思ってる――。



「キミを育てるのに随分苦労したから、由美は早死にしたんだ」

 なんて言葉も、口にしないで。



 僕だって思ってる。

 僕のために無茶をしたから、姉さんは病気になったんだって。

 だから、絶対幸せになって欲しかった。

 これから裕文さんと幸せになれる筈、だったのに。 



 ひたすら、申し訳なくて……。



「だけどお義兄さん、あのね」

 だからこそ、言わなきゃ。

 僕が大学に行く事を裕文さんは望んでくれているけれど、これ以上お義兄さんに迷惑はかけられないって。

 高校卒業したら就職して、この家を出て行くって。

 ちゃんと言わなきゃ、いけないのに――。 

 なのに震えようとする情けない唇を、一瞬強く噛んで、 僕は口を開いた。

「あの」

「だけど、そうだな。来年受験だって言っても、息抜きは必要だよな」

「……はい?」

 肉じゃがのじゃがいもを幸せそうに口へと運んだ義兄は、にっこりと魅力的に笑ってみせる。

「ちょうど新しい上着が欲しいと思っていたところなんだ。明日の休み、買いに行くの付き合ってくれないかな? 浩次君」

「…………」


 その笑顔を向けられて、今まで断れた人なんていたんですか? と。

 僕は真顔で義兄へと訊いてみたくなった。


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