キミの次に愛してる【BL】


「再婚は、しないんですか?」

 昼食を食べながら訊いた僕に、裕文さんは手を止める。

 今まで見た事もない、怒ったような顔で目を剥いた。

 そうして少し、寂しそうな笑顔を浮かべる。

「そうだね……。まだ、しないかな」

「いつまで?」

 呟くように訊いて。

 姉さんの何回忌になったら再婚するんだよ、と八つ当たり気味に切り返していた。

「……浩次君が結婚するまでは絶対しない、かな」



 初めて。

 裕文さんを「残酷だ」と思った。 



「そんなの……僕がいつまでも結婚しなかったらどうすんの?」

 困らせようと思った。

 父親気取り、兄気取りでいるのなら。駄々をこねる子供のように、ただ困らせてやろうと思った。

「それなら……。いつまでも俺だって再婚しないね」


 ――死ぬまでよろしく。


 まるで結婚式の誓いのような事を言って、笑っている。

「……変わってるね、お義兄さん」

 呆れ気味に僕がそう言っても、裕文さんは楽しそうに笑い続けていた。

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