キミの次に愛してる【BL】
八
「これって……」
義兄の部屋に掃除機をかけていた僕は、義兄の仕事用のデスクに置いてある物を見て手を止める。
それは、写真が入っていると判る台紙で。
綺麗な花柄の表紙に、洒落た金色の英文字が入っていた。
「お見合い写真、だよね……」
触れかけて、手を止める。
僕が部屋を掃除するのを判っていて、こうしてしまわずデスクの上に置いてあるという事は、たぶん、見られても構わないと思っているんだろう筈で――。
開けてチラリと中の写真を見ても、きっと義兄は怒らないだろう。
それに例えば。もし見たとしても、僕が黙ってさえいれば、そもそも義兄にバレる事もないように思えた。
――けど。
見れる筈がない。
僕は掃除もそこそこに、堪えられずに義兄の部屋から出た。