「仕事に行きたくない」と婚約者が言うので
「それは駄目です。仕事へ行って、きちんとお勤めを果たしてきたマンフレット様のお疲れがとれるようにと、チーズタルトを準備するのですから。仕事へ行かないマンフレット様には、食べさせられません」
ピシャリとヘラルダが言えば、やっとマンフレットが顔をあげた。
十八になったマンフレットは、ヘラルダよりも六つ年下。なぜあんな年増がマンフレット様と、という噂もヘラルダの耳にも入った。その噂の主は、マンフレットを狙っていたこのティンホーベン国の貴族令嬢たち。どうやら味噌っかすの第三王子であっても、第三王子という肩書が彼女たちにとっては魅力的なものらしい。
「ヘラルダ。ぎゅっとして。そしたら、仕事に行けそうな気がする」
「はいはい」
ヘラルダは優しく微笑んでから身をかがめると、マンフレットの背に両手を回した。ぎゅっと優しく抱きしめる。
(いち、に、さん……、じゅう)
心の中で十まで数えてから、ヘラルダはそっとマンフレットから離れた。
「ではマンフレット様。いってらっしゃいませ」
「うん。いってくる。チーズタルト、楽しみにしてる」
「はい」
ピシャリとヘラルダが言えば、やっとマンフレットが顔をあげた。
十八になったマンフレットは、ヘラルダよりも六つ年下。なぜあんな年増がマンフレット様と、という噂もヘラルダの耳にも入った。その噂の主は、マンフレットを狙っていたこのティンホーベン国の貴族令嬢たち。どうやら味噌っかすの第三王子であっても、第三王子という肩書が彼女たちにとっては魅力的なものらしい。
「ヘラルダ。ぎゅっとして。そしたら、仕事に行けそうな気がする」
「はいはい」
ヘラルダは優しく微笑んでから身をかがめると、マンフレットの背に両手を回した。ぎゅっと優しく抱きしめる。
(いち、に、さん……、じゅう)
心の中で十まで数えてから、ヘラルダはそっとマンフレットから離れた。
「ではマンフレット様。いってらっしゃいませ」
「うん。いってくる。チーズタルト、楽しみにしてる」
「はい」