「仕事に行きたくない」と婚約者が言うので
3.
◇◆◇◆


「ただいま。ヘラルダ。今日も仕事、頑張ってきたよ」
 着替えもせずに、騎士服姿のままマンフレットはヘラルダの部屋へとやってきた。

「お帰りなさいませ、マンフレット様。お着替えをなさってください。その間にお茶の準備をしますね」

「ヘラルダ。もしかして約束のチーズタルト……」

「はい。作りました。マンフレット様のお部屋に運びますね」

 ヘラルダの言葉を耳にしたマンフレットは満面の笑みだ。

(いつものマンフレット様だわ……)

 こっそりと覗いたマンフレットとは別人のよう。いや、ヘラルダが知っているマンフレットはこちらの彼。だから、先ほどこっそりと覗いたマンフレットが別人なのだ。多分。

「ヘラルダ、どうかした?」

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