この病の治療薬
「あなた言ってましたよね?自分にできることは何だってすると。お代、まだでしたよね?支払ってくださいよ。もちろん体で」

何年も着ているため古くなった着物の帯がスクナビコの手によって解かれ、あらわになった胸に何度も口付けされる。

「スクナビコ様、嫌です。やめて……!んんっ!」

碧が大声を出して助けを求めようとした刹那、それを見越したかのようにスクナビコに口をキスによって封じられる。何度も唇を奪われて碧の体の力が抜けていくと、唇が離れていく。碧がホッとしたもの束の間、口枷をつけられてしまった。

「んんっ!」

「これ以上拒否の言葉は聞きたくないので。好きな人に言われると傷付いてしまう言葉もあるんですよ?」

スクナビコはもう一度碧の頰を撫でる。声にならない声を発しながら、碧は涙を流すことしかできない。

夜の帷が降りる中、碧は泣きじゃくり、スクナビコは幸せそうに微笑んでいた。








< 14 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop