大蛇の花嫁

どこからか現れたヤマタノオロチは、あちこちの村を破壊していき、人間を襲って食べているそうだ。このままではいけないと思った勇気ある一人の人間がヤマタノオロチに訊ねた。

「お前は何故、こんなにも暴れ回るのだ？どうすれば大人しくなる？何を望んでいるんだ？」

すると、ヤマタノオロチは目をギョロリと動かす。そして、チロチロと細長い舌を出しながら言った。

「××に住んでいる桃という少女を我の元へ連れて来い」

それを聞いた人々は桃を生贄にすることを決めたのだ。桃の意志など関係なかった。家に押し掛けた人々は目をギラつかせながら桃を縛り上げ、外へと連れ出す。

「お父さん！！お母さん！！」

逃げ出そうと暴れる桃の頬が殴られた。桃が唖然としていると、目隠しと口枷が付けられてしまう。

「お前一人が犠牲になれば、これ以上誰も死なないんだよ！」

「もう家が壊されるのはうんざり！人の死体を見るのも嫌よ！」