大蛇の花嫁

「オラッ！死ねよ！」

「気持ち悪りぃ〜」

「こいつの目、俺が潰すわ」

三人が木の枝で攻撃をしていたのは、全身を緑の鱗で覆われた蛇だった。三人は執拗に蛇を木の枝で叩き、蛇が威嚇をしていてもお構いなしに木の枝を振り下ろす。

「ちょっと、やめなさいよ！！」

桃は蛇が可哀想に思い、三人の前に割って入る。三人の男子は少し驚いたものの、すぐに桃を突き飛ばした。

「女が男の遊びに口出しするんじゃねぇよ！」

「そうだそうだ！引っ込んでろ！」

「お前は女の子とままごとでもしてろよ！」

桃が立ち上がると再び突き飛ばされ、笑われる。蛇が心配そうに桃を見上げていた。桃は「大丈夫だよ」と蛇に笑いかけ、何度も立ち上がる。

「生き物をいじめたら、いつか自分に不幸になって返ってくるんだからね！」

桃はそう言い、男子たちを睨み付ける。決して逃げたり泣いたりしない桃を見て、男子の一人が飽きてきたのか「もう行こうぜ」と言い、残りの二人も悪態を吐きながら去っていく。