お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「懐いてくれるようになって、わたし嬉しいのよ?」
「みゃう」
「お利口さん。お腹すいた?」
返事をするように鳴くルナは、体を捻ってわたしの腕から降りると、ベランダの方に向かった。
「ルナ。おはよう。お嬢様のお部屋に俺がいて驚いたか?」
九重の優しげな声を聞きつつ、カーディガンを羽織り、顔を洗って歯磨きをする。
そして制服に着替えて、キャットフードを用意した。
これが毎朝のわたしのルーティーン。
もし子猫ちゃんたちが起きていたら、自分より先、もしくは同じタイミングでご飯をあげるのがマイルール。
「九重、もういいよ。あと、ルナ。ご飯」
「みゃー」
九重の膝の上で丸くなっていたルナが目を輝かせてキャットフードに向かう。
「今日は学校なのですか」
「そりゃまあ、平日だからね。学校だよ」
「そうですよね。一緒に夜を明かすことなど初めてで、どうやら感覚が狂ってしまったみたいです」
「やめてよ、なんか言い方がやらしい」
問いかけてきた九重に部屋に入るよう促す。