お嬢様、今宵は私の腕の中で。

「にゃー」

「起きたの。ラン、おはよ」



ぱっちりと目を開けたランが、ルナの元へ走った。



「みゃー」

「にゃう」



ランが朝ご飯を取ろうとするのを必死に阻止しようとするルナ。



「こら、喧嘩しないの。ラン、それはルナの。ランのもちゃんとあるから慌てないで」



一緒に暮らし始めてしばらく経ち、だんだん2匹の性格が分かってきた。



ランは真っ白い毛をしていて、か弱く大人しそうな雰囲気なのに、実はお転婆で食い意地が張っている。


ルナは最初こそ全然懐いてくれなかったけれど、一度慣れるとものすごく甘えん坊。


甘え上手なランとは違い不器用だけど、それでも飼い主に対する独占欲は強いらしい。


一度甘えるモードに入ると、なかなか離れてくれない。


そんなルナは、直感的に軽率な行動をするランとは真逆で、大の慎重派。


思い出してみれば、紅葉池に落ちたのもランの方で、ルナはなるべく池からある程度の距離を保っていた。


あのときはおそらく、ランに()されたのだろう。


性格を知ることで、過去の出来事の真意がだんだん見えてくる。


最近それがすごく嬉しい。

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