お嬢様、今宵は私の腕の中で。

今日の朝食に視線を落とす。


ベーコンエッグのマフィンサンド。


ベーコンエッグをピクルスと一緒にイングリッシュマフィンに挟んである。


味はもちろん、見た目もものすごく可愛いのだ。


お皿の端にはサラダとミニトマトが、そしてその横にはわたしの大好きなコーンスープがあった。



「美味しそう……!」

「どうぞお召し上がりください」



合掌してマフィンサンドを口に入れると、カリッとした食感が美味しさを倍増させる。



「九重も食べる?」



マフィンサンドをちょいと持ち上げると、九重は苦笑した。



「いいえ、結構です……と言いたいところですが、実は今朝はまだ何も食べていなくて」



そりゃそうだ。


わたしの我儘に付き合ってベランダで寝てくれて、わたしより遅く起床したのだから、当然朝食をとる時間なんてないだろう。

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