お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「あの、ありがとうございます」
「いいえ。お気になさらず」
ふわ、と笑った神崎さん。
くりくりの目が線になって、唇からは小さく八重歯がのぞいた。
似てる……。
意識してみると、いや、意識せずともやはり三春さんと似ている。
ただ、三春さんの話では、双子は双子でも2人は二卵性らしく。
三春さんは似てないと言っていたけれど、そっくりでなくとも、似ていることは確かだった。
纏う雰囲気もどことなく似ている気がする。
「あの、三春さんのお姉さん、ですよね」
「えっ?どうしてそれを」
「三春さんから聞きました」
「三春から?」
目を丸くする神崎さんにこくりとうなずく。
「ええと、どういう接点なのかは分かりませんが、三春がお世話になっております……?」
「いえいえ!逆に、三春さんに助けてもらうことばかりで」
ぶんぶんと首を横に振ると、神崎さんはクスリと笑った。
「あの、もしよろしければ」
「……?」
「わたくしのことも、名前で呼んでくださいませんか?」
上目遣いでお願いされて、その圧倒的な可愛さに目を見張る。
これは……。
断ることなど到底できない。