お嬢様、今宵は私の腕の中で。



「ただいま帰りました……あ、九重!」



今朝言っていた通りリムジンの前で待っている九重に手を振る。



「わあ……九重さん、今日も綺麗なお顔」



隣で甘いため息を吐いた姫乃さんを連れて、九重の前に立つ。



「九重。今日は姫乃さんとお茶会をするの。だから、家に帰ったらお招きできる準備をし
てくれる?」

「承知致しました」



恭しく礼をした九重は、わたしと姫乃さんにリムジンに乗るよう促した。

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