お嬢様、今宵は私の腕の中で。
◇
「ただいま帰りました……あ、九重!」
今朝言っていた通りリムジンの前で待っている九重に手を振る。
「わあ……九重さん、今日も綺麗なお顔」
隣で甘いため息を吐いた姫乃さんを連れて、九重の前に立つ。
「九重。今日は姫乃さんとお茶会をするの。だから、家に帰ったらお招きできる準備をし
てくれる?」
「承知致しました」
恭しく礼をした九重は、わたしと姫乃さんにリムジンに乗るよう促した。