お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「分かりやすく言うと、すずさんの好きな写真をプロフィール画像に設定できるの」
「……好きな、写真」
「何かない?」
答えは決まっていた。
「花。お花がいい」
「じゃあ、撮りにいきましょう。ここには沢山のお花があるもの。すずさんのお気に入りのお花を見せて」
「うん」
一緒に庭に出ると、色とりどりの花々が彩っていた。
「わあっ。綺麗なお庭。すずさんのオススメの花はどれ?」
「わたしのオススメは、これ」
「これは……パンジー?」
「そう。今の季節はこのお花がいいかなって」
「すごくいいと思う!撮ってみましょ」
姫乃さんに言われて、パンジーにカメラを構える。
慣れない手でシャッターボタンを押そうとしたその時だった。
「にゃん」
「みゃー」
横から何かが飛んでくるのが見えた。
咄嗟にスマホを守る。
「わあ、猫ちゃん」
「ちょっと、ラン、ルナ。危ないでしょう」
かろうじてスマホは死守したものの、誤って落としていたらと考えると背筋が凍る。