お嬢様、今宵は私の腕の中で。

ちらと視線をおくると、九重は照れ顔からすっと顔を整えて執事モードに。


「あ、ちょっと待って」


思わずストップを入れる。


「執事としてじゃなくて、九重としての感想を、お願いします……」


言っている途中でだんだん恥ずかしくなってしまい、語尾はほとんど発声できていない。


それでも、九重には十分届いただろう。


せっかく整えたはずのスマートな顔が、どうしようもなく赤くなっていたから。

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