お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「もし、だよ。飲み物をこのドレスにこぼすなんてことがあったら……。いや無理。まじ無理。考えただけでおぞましい」
顔を歪める晶さんの横で、今度は瑠夏さんが、はあ、とため息を洩らす。
「ウチ、こんな大層なドレス着るほど可愛らしくないのに……。なんか、ドレスに申し訳ない」
「瑠夏、十分似合ってるよ。素敵」
白いマーメイドラインのドレスを着た雪乃さんがにこりと目を細めて微笑んだ。
神崎家の御令嬢である三春さんは、3人には内緒で自分自身のドレスを着ている。
けれど、あとの3人はドレスを持っていないため、この間のお礼も兼ねて今度はわたしが自分のドレスの中から似合うものを選んだのだ。
どの形、色、生地が、よりその人を魅力的にするのか。
考えるのはものすごく大変だったけれど、その分楽しさもあった。
名前の通り真っ白な雪のように綺麗な雪乃さんには、絶対に純白のドレスを着てほしかった。
そして、細身の体型を存分に活かす、マーメイドラインのドレス。
普段は結っている髪を下ろすことで、より一層大人っぽさが増している。