お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「ていうかさ。ここにいる人たちって、みんなお金持ちなんだよね」
「金銭目当てを疑わせる怪しい発言するんじゃない!」
「痛い瑠夏っ!なんで叩くの!」
「2人ともやめてよ。ここはファミレスじゃないんだよ、恥ずかしい」
わいわい、ぎゃあぎゃあと騒ぐ2人を、雪乃さんが宥めに入る。
そんな3人を遠巻きに見ていたわたしの元に、爽やかな緑のドレスを纏った三春さんが近付いてきた。
神崎家で用意されたドレスなだけあって、ふんだんにフリルがあしらわれ、胸元から腰の辺りには春を感じさせる小さな花がたくさん咲いている。
それに、綺麗な鎖骨のラインを見せるオフショルダーのドレスは、肩幅が華奢で女性らしい身体付きの三春さんにピッタリだった。
さすが、本人に合うドレスを持っている財閥なだけあるよ。
制服の三春さんも素敵だけど、ドレスになると比じゃない。
圧倒的もしくは飛び抜けている、もしくは一際目立っている。
きらきらと三春さんの周りだけが輝いているようなオーラが確かに存在していた。