お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「神崎家の者として御礼申し上げます。今宵はこのような素敵なパーティーにご招待いただき、誠にありがとうございます」
礼儀正しく一礼した三春さんは、身体を起こして花が咲いたように、にこりと笑う。
「こちらこそ、今日は来てくれてありがとうございます」
「いいえ、とんでもない。両親も姫乃も、神崎家の者全員が喜んでいました。本当にありがとう」
真面目な挨拶を終えて、互いにふふっと笑みを洩らす。
「すずちゃんの桜色のドレス。華やかで可愛らしいのに、落ち着いた色合いで、本当によく似合ってる」
「いやいや……」
「すずちゃん、そこは"ありがとう"でしょう。せっかく綺麗にしたんだもの、自信を持っている方が女の子は可愛いのよ」
「うん。ありがとう」
言い直すと、満足げに笑った三春さんはわたしに一歩近づいた。