お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「わたくし、これでもあなたを気に入っているの。あなたにそばにいてほしいの」
……なんか、告白みたいになってきている気がする。
「あなたと一緒にいられたら、きっとわたくしは幸せよ。だから、お願い」
「……それで私を口説いているつもりですか」
ようやく九重が口を開いた。
聖羅は「バレた?」と肩をすくめる。
「少しはドキドキしたんじゃない?この二階堂聖羅に口説かれるなんて、あなたは幸運な男ね」
「自分で言うか普通。ドキドキなんて死んでもするわけねーだろ」
「辛辣なんだから。レディーには優しくしないと嫌われちゃうわよ」
「最初から嫌いだろ」
ん?
なんだこの謎のテンポ感。
さきほどまで険悪な雰囲気だったのに、今2人を取り巻く空気はまったくの別物だ。