お嬢様、今宵は私の腕の中で。

「こっちこっち!はやく捕まえないと逃げちゃうよー!」


向日葵に囲まれて無邪気に笑う妹の姿を見つめる。


可愛いなあ。幸せそうだなあ。


願わくば、この笑顔がずっと守られますように。


そう思わずにはいられなかった。


「すずちゃん」


妹のあとを追うのは、光月の弟くん。

弟といっても2人は双子で、とてもよく似ているのだ。


執事という存在を私ですらちゃんと認識できていないのだから、すずからすれば【遊んでくれる男の子】という認識なのだろう。


光月は私、弟くんはすず。


それぞれお嬢様と執事の関係ではあったけれど、それよりも"友達"という認識の方が強かったように思う。

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