お嬢様、今宵は私の腕の中で。
捕まえましたよ、お嬢様。
対面のとき
「……どんな地獄だよ。罰ゲームなのか、これは」
「ごめん光月。つい話しすぎちゃった」
「話しすぎのレベルじゃねーだろ」
顔を真っ赤にしてそっぽを向く光月さん。
家へ向かうリムジンの中で、二人の出会いについて聞き、今に至る。
「九重くんはさっき、約束を果たせなかったのは光月のせいって言ったけど、結局九重くんはイギリスに来なかったわよね?」
「はい。日本にとどまることを望んだのですが、反抗的態度が執事として間違っていると判断されて、イタリアの学校にとばされたので」
「じゃあ、光月のせいじゃないのね」
「はい」
九重が頷いたところで、どうやら到着したようだった。
ふうっとお姉ちゃんが息を吐きだし、それから大きく息を吸う。
「よし」
屋敷をまっすぐに見据えて、気合を入れたお姉ちゃんは、リムジンから降りて屋敷に足を踏み入れた。