お嬢様、今宵は私の腕の中で。


「寒いわね……さすが、大晦日の前なだけあるわ」


ぶるりと身体を震わせたお姉ちゃんのとなりを歩く。


今は家族での食事を終えて、幼い頃遊んでいたという庭に向かっているところだ。


「相変わらずたくさんお花が咲いているのね」



花に視線を遣って嬉しそうに笑うお姉ちゃん。

お姉ちゃんもわたしやお母様と同じで、花が好きなのだ。


二人で花のもとにしゃがんだその時だった。


「にゃー」


現れたランが、お姉ちゃんの足元に擦り寄った。


「ラン。お姉ちゃんだよ」


つぶらな瞳を見つめながら言うと、後ろからルナもトコトコと歩いてきた。


「この猫……」

「ん?」

「すず、あなた猫を飼っていたの?」


ひとつひとつ確かめるように問いかけるお姉ちゃんに頷く。

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