お嬢様、今宵は私の腕の中で。

「少し前にね。どこかの使用人の方から預かったの。お世話しきれなかったみたい」


へへ、と笑うと、お姉ちゃんは驚いたように目を丸くして、ランの頭を撫でた。



「すごく偶然なんだけど、信じられない」

「……なにが?」

「この二匹は多分、私たちが飼っていた猫だと思うの」



衝撃の事実に耳を疑った。

だって、そんなことってある?


「首輪を見たら分かる。この二匹はわたしたちが飼っている猫の子供だと思うわ」


言われた通りランの首輪の裏を見てみると、【S.K】というイニシャルが刻まれていた。


「これは、いったい……?」

「使用人がお世話をすることが多くて、名前をつけたのも使用人だからおそらくだけど、九重シロ、とかじゃないかしら。いっぱい猫がいるから端的にしたんだと思うわ」


ルナの方も確認してみると、【K.K】とある。

お姉ちゃんの話のままいくと、これはきっと【九重クロ】からとったイニシャルだろう。

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