お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「晶さん!待って!」
慌てて止めると、晶さんはピタッと止まった。
お姉ちゃんを連れて、晶さんの前に立つ。
「晶さん。となりにいるのは、わたしの姉です」
「姉……って、すずのお姉ちゃん!?」
「九重ひまりと申します」
名乗ったお姉ちゃんに目を向けて、晶さんはもっと大きく目を見開いた。
「九重って、まさか……」
だんだんと青ざめていく晶さん。
「……ち、違うよ?多分、晶さん勘違いしてる」
「すず、強く生きてね」
反応からして、絶対に勘違いされている。
「晶さん。話せば長くなるから、そこに座って!」
晶さんの手を引いて椅子に座らせる。
そして、ここまでの経緯を話し出した。