お嬢様、今宵は私の腕の中で。



「なんか、すごい繋がりじゃない?漫画じゃあるまいし」

「そうなの。本当に偶然が重なっただけなんだよね」


頷いた晶さんは、お姉ちゃんの方を向いた。


「ということは、ひまりさんは九重さんのお兄ちゃんの奥さん、ってことだね」

「そういうこと」

「紛らわし。てか、もうすぐすずも九重になったら、4人で九重じゃん。すご」


紛らわしいよね、わたしも思う。

……って、今なんか聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするけれど。


「わたしが九重になるってどういうこと……?」

「ひまりさん。遅くなりましたが、すずの友達の晶です」


わたしの言葉は完全スルーしてお姉ちゃんに頭をさげる晶さん。

お姉ちゃんもにこやかな笑みを浮かべて、同じように頭を下げた。


「九重ひまりです。いつもすずがお世話になっております」

「そんなそんな!お世話になってるのはこっちなので」


笑い合うお姉ちゃんたち。

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