お嬢様、今宵は私の腕の中で。
先ほどの音の正体はきっと、ルナがつけているこの鈴だ。
「良かったわね。つけてもらったの?」
「みゃあ」
可愛らしく鳴くルナの頭を、晶さんもしゃがんで撫でた。
「モフモフしてる。可愛すぎる……」
噛み締めるように言った晶さんは、猫目の瞳をふっと細めた。
「ご主人さまとおんなじね。君のご主人さまは『すず』っていうんだよ?君のこれと一緒」
優しく語りかけた晶さん。
その瞬間、わたしの中で何かがバチッと繋がった。
『わたしとおんなじだね!』
『泣かないで、すずちゃん。俺とすずちゃんはいつでも一緒。どこにいても、繋がっているから』
過去の記憶が、鮮明に頭に流れ込んでくる。
……すべて思い出した。
腕の中にいるルナをぎゅっと抱きしめる。
「ありがとう、ルナ。あなたのおかげで思い出したわ」
頭を撫でると、ルナは気持ちよさそうに伸びをした。
「にゃあ」
シャン、ともうひとつの音に視線を遣ると、そこにはランがいた。
まるで、ついてきて、と言うように走り出す。
「お姉ちゃん、晶さん。わたし」
「行ってきなさい」
「行ってらー」
二人に背中を押されて、わたしは必死でランのあとを追った。