お嬢様、今宵は私の腕の中で。
何度も重なる唇。
酸素を求めて口を開けても、鈴月さんがそれを阻んでうまく呼吸ができない。
「……くる、しっ。りつき、さ……っ」
唇を離した鈴月さんは、静かにわたしの頭を撫でた。
「すず。愛してる」
愛の言葉を紡いだ鈴月さんは、片手でネクタイを緩めた。
そして、艶やかな髪をかきあげて妖艶に微笑む。
「今夜は寝かせませんので、覚悟してください」
「や、冗談……、?」
「本気ですよ、お嬢様」
熱を孕んだ瞳がわたしを見下ろしている。
「ここには私以外、誰もいませんので。
……存分にないてください。善がってください」
ものすごい色気で、とんでもないことを言い放つ元専属執事は。
耳元で、今までで一番甘く、蕩けるように囁いた。
「お嬢様、今宵は私の腕の中で」
冗談が本気に変わったとき、
わたしは貴方には敵わない。