お嬢様、今宵は私の腕の中で。
「そう、だったんだ……」
「並んでみると、若干似てるっしょ?」
鈴月さんと月夜さんを交互に見遣る。
切長の目とか、瞳の色とか、スッと整った鼻筋も、薄い唇も。
こうして比べてみると、似ているのは圧倒的だった。
「似てる……」
「でしょ。まあ、かっこいいのは俺の方すけどね」
ははっ、と笑った月夜さんは、ひらひらと手を振ってその場を離れていった。
「昔からああいう奴なんです。理解してやってください」
鈴月さんがとなりで苦笑した。
「分かってるよ」と返事をして、こくりと頷く。
するとそのとき、パタパタと二人の女の子が走り寄ってきた。
「すず、結婚おめでとー!」
「いやまだだわ。気が早い」
抱きつく晶さんに、いつものようにツッコミを入れたのは瑠夏さん。
それでもぎゅうぎゅうとわたしを抱きしめて離さない晶さんに、ヤレヤレといった表情をしている。
「なんかよく分からないけど、晶の話ではお二人、結婚することになったんですよね?おめでとうございます」
にっこりと笑みを浮かべられて、どうしたらいいか分からず、照れながらはにかんだ。
瑠夏さんは状況をよく知らないのに、わたしに協力してくれた。
詳しいことを問いただすことなく、背中を押してくれた一人なのだ。
感謝してもしきれない。