文字だけの彼女。
お互いの時間も気にしながら

「そろそろ出よっか。」

と、無邪気な顔で
少しの我慢と理性を持ち言った。

「うん。そうだね。」

私も彼の気持ちを汲み取りたく
短く応えて、身支度を整えた。


ホテルのチェックアウトを済ませ
彼と手を繋ぎ、駅までゆっくりと歩いた。

彼と反対方面に乗るモノレールが
このまま来なければいいのにと思ったが
無情にもモノレールの電光掲示板は光り
時刻を照らした。

お別れの時間までもが大切で
どれだけ話したかな。


とうとう、モノレールが来て
後ろ髪を引かれる思いで乗りこんだ。

モノレールが動き出すまでの時間
彼と見つめ合った。


恋人のように手を振ったりもせずに
ただお互いを見つめ合い…

モノレールが動き出した。


寂しいと同時に…
これで良かったと、安堵した。

彼にこれ以上、ハマるともっと辛くなる。

会えただけでも嬉しい。
次の約束は無くても、嬉しい。

そう時分に言い聞かせ、帰路へと着いた。

帰りのモノレールや私鉄の乗り換えでも
彼とずっと連絡を取り合っていたが
いつもの調子の彼だった。


あのひと時が、無かったかのように。


その時に、私は少しだけ
抱かれておけば良かったと後悔をした。

次の約束もなく寂しさに駆られながら
家に戻り、母の顔に戻った。


きっと、これで良かったんだ。


自分に言い聞かせて…
翌日からも彼との他愛ないメッセージを楽しんだ。

淡い恋心を心に持ちながら。

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