文字だけの彼女。
あの日依頼、何も進展もなく
毎日のメッセージのやり取りも少し減り
やはり現実かどうか分からなくなり

私は諦めの気持ちも持ち始め…
本業に打ち込み、1ヶ月が過ぎた。


このまま終わるのかな。


淡い恋心も泡のように
儚く弾け消えそうな時。

彼とのメッセージで
何かキッカケが無いかと
必死で手探りで模索していると…

不意にキッカケが見付かった。


彼は知らない人に対して
触れられる事が苦手な事。


だから、美容室や整体に行けないと。

私は必死に今までの
自分の自己満足の為だけに
培った資格をチラつかせ…

彼のインドアな心を動かそうとした。


一人の時間を大切にする彼だからこそ
難攻不落に難しかったが

一人の整体師として接しているうちに
親身に話を聞いていると
自然と彼が食い付いてきた。

恋愛の駆け引きは
私は不得意だ。

むしろ、出来ない。


コミュニケーション能力も低い。


だけど、体の不調のヒアリングは
職業病で上手く出来た気がした。

彼に恋をしているのも忘れ
アドバイスをしたりしているうちに…

「整体、頼もうかな…。」
と、彼からの不意な言葉が出た。


凄く今の私にとってはチャンスなのだろうが…
私は冷静に考えて
色々と前のめり気味には対応せずに
普段通りに振る舞った。

そうすると、不調のアピールも多くなり
自然と会話も増えて言った。

そして彼からのお誘いがない理由も
聞き出せた。

理由は至って普通な
「予定が合わないから。」だった。

拍子抜けはしたが
私は今の現状を素直に説明して
予定や仕事の空き具合を伝えた。

ほんの少しの希望と
再燃した恋心と共に…。

忘れたくても、やはり忘れる事が出来なくて
思いの募る日々が戻ってきた。

普段通りを意識しながら
メッセージをしていると
そして、とうとう彼からの誘いが来た。

指定された日も
天気予報は雨予報だった。
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