文字だけの彼女。
彼と会える事になり
私は喜びの反面、不安になった。

短時間でもいいと思っていたのに
欲が出てしまう。

その欲と同時に
また密室で会う予定になっているので…
抱かれたいと思ってしまう。

そんな期待を、少しながら持ってしまう自分が
嫌になり…彼には
勘付かれないようにした。

そうすると自然にメッセージも減り
何故か私の中の空虚感も大きくなった。

例え一目だけでも
会えたら嬉しいと思っていたのに…。

メッセージも減り
私は時間を持て余し始めた。

いつもの、この時間なら彼と他愛ない話を
やり取りしていたのに。

自然と不安が込み上げてきて
会える事が喜びより不安に変わり始めた。



そんなある日。

彼のSNSを覗くと少し意味深な事が
ハッシュタグに書き込まれていた。

「片思いの時もありますが。」
「あなたの目に僕は写っていますか。」

ただの短文なのに、私は深く落ち込んだ。

彼の交友関係やSNS関係は
出来るだけ見ないようにしていたのに
「片思い」や「あなたの目」の一言だけが
私の胸に突き刺さり、やり場のない感情が芽生えた。

その日から、私は平常心を保てなくなり
彼とのメッセージも返事を
少し曖昧に濁したり…
「好き」のアピールも減らした。

元々、彼は既婚者。
所詮、遊びなのだ。

身体の関係さえ持っては無いものの
手に入らない物ねだりな程
私は彼に溺れていた。

そこに、ふと現実が見えただけ。

ただ…それだけの事。
なのに、私は急に生きづらくなった。

誰にも言えない恋心にそっと蓋をかぶせるように
彼とも距離を開けようとしていた。

彼も気付いているのか
いつもよりドライな会話しか来ない。

元々、私からのメッセージに答える感じで
会話が始まるのだけれど…
私からメッセージを始めないと
会話が完全に始まらなくなった。

彼が元々コミュニケーションを取る事が
苦手なのも知ってはいるが
私は私からメッセージをスタートさせないように
自分にブレーキをかけてしまっている。

…どうすれば?

自問自答を繰り返し
私は彼と会う事すら疑問を感じはじめたのは
密会3日前の出来事。



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