闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 やっぱり男もののTシャツって大きいんだな、と実感するとともに、櫂人との体の違いを意識して何だか照れてしまった。

 というか、下に履くものは用意してないってことは――いや、そこは考えないようにしよう。

 考えたらまた落ち着かなくなりそうだって分かっていたから。


 洗濯機の横にあったハンガーを借りて制服を適当に掛け、髪もしっかり乾かしてからリビングに戻ると、櫂人はソファーに座って待っていた。


「お? 結構ゆっくりだったな?」

「あ、待たせちゃったね。ごめん」


 私が出てきたのを見て、ソファーに座っていた櫂人が立ち上がり側に来る。


「……ヤバイな」


 私を見下ろしてそう呟いた彼は、その節ばった手で自分の口元を覆う。
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