闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
二章 捜索

バラの薬

「そう言えば、恋華は今までどういう生活をしていたんだ?」

 共に眠って、朝の微睡みの中聞かれた。

 その言葉で、そういえば昨日は櫂人のことばかりを聞いて私のことは話していなかったなと気付く。

 どこまで話そうかと思ったけれど、櫂人は辛いだろう母親のことも話してくれた。

 なら、全部を話そう。

 どうせ今言わなくてもいずれは話すだろうから。


「元々はここから離れた街に住んでいたんだけどね、小二の頃お父さんがヨーロッパの方に転勤になって……そこからあっちの方を転々としていたの」


 そう話し始めて、半年前の事故のことも話す。

 次の転勤先に向かう途中の電車事故。
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