闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「それでも、お前が生きていてくれて良かった……」

「……うん、そうだね。私も生きていて良かった……」


 私も櫂人の胸に頬をくっつけるようにして身を任せた。

 同情というわけではなくただ辛さを理解してくれて、生きていることを喜んでくれている。

 嬉しかった。


 意識を失っている間に両親が亡くなって、現実を受け入れられなかった直後は本当に荒れた。

 両親の言葉があったから自殺するのは思いとどまったけれど、助けてくれた真人さんに「どうして私だけ助けたの⁉」と暴言を投げたこともある。

 でも、生きていて良かった。

 生きていたから、櫂人にまた出会えて愛し合うことが出来たんだもの。

 櫂人を一人にせずにすんだ。

 この温かな腕の心地よさを知った。

 この喜びを知ることが出来て、本当に良かった。
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