闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「愉快犯なのか、何か目的があるのか。分からないけど、とにかく実際にヴァンピールは現れた」


 だから、ハンター協会はこの街からヴァンピールが出ないよう囲い込み、現れたら対処できるように櫂人たち《朱闇会》の協力も取り付けたんだそうだ。


「つまり、その犯罪予告をしてきた吸血鬼を捕まえない限り安全はないんだ」

「そんな……」


 また、あんな人ではなくなったものが現れるっていうの?

 人間だった人があんな風にされてしまうの?

 終わっていないということにまた恐怖が蘇って、知らず体が震えた。

 すると櫂人の手が伸びてきて、ちょん、と頬に触れる。

 見ると、眉尻を下げた申し訳なさそうな顔があった。
< 152 / 329 >

この作品をシェア

pagetop