闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「……悪い、食事中に話す内容じゃなかったな」

「……ううん、また同じようなことにならない様にって話してくれたんでしょう? ありがとう」


 伸ばされた手を取って、しっかりと頬に当てる。

 櫂人の大きな手のぬくもりを感じたら、ホッと落ち着けた。

 櫂人がそばにいてくれれば怖くない。

 でも、櫂人がいなければ……。


「ねぇ、櫂人?」

「ん? なんだ?」


 櫂人がいないとまた怖くて震えてしまいそうだと思った私は、少しためらったけれどお願いをした。


「その……真人さん、明日じゃないと帰って来なくて……今日帰っても私一人なの」

「……」

「だから、まだ一人だと怖いし……今日もここに泊まって良い?」


 少し前にその真人さんの許可がなければ一緒に住めないと言ったばかりなのに、と何だかちょっと気まずい気分で頼む。
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